子供の頃、駄菓子屋さんやおもちゃ屋さんなどに置かれたカプセル販売機で買い物をした記憶のある人は多いのではないでしょうか。それがガシャポンです。現在「ガシャポン」はバンダイの登録商標として扱われていますが、現代のガシャポンは一体どのようなものなのでしょうか。
ガシャポンは店頭・店外に置くことが出来る小型のカプセル販売機と、販売形態を指します。コインを入れてレバーを回すことでカプセルが出てくる販売形態は、子供にも買いやすく電気を使用しないという利点があり、全国的に広まっていきました。その中で生まれたのがレバーを「ガシャガシャ」回してカプセルが「ポン」と出る『ガシャポン』という呼び名だったのです。また1980年代までのガシャポンは、「コスモス」ブランドのものが多かったのですが、1990年代以降からはバンダイやYujinの参入で、クオリティの高い商品がラインナップされるようになりました。
ガシャポンの魅力は「何が出るのかわからない」ことにあります。レバーを回すことで箱の下の回転盤が回り、穴が開いて一個だけカプセルが出る仕組みになっているのですが、この回転の際にカプセルがシャッフルされるので、「開けるまで中身がわからない」という楽しみを生み出すのです。また、当たりの商品が良い物であることを示す表書きにもついつい財布の紐を緩めてしまう魔性の魅力が込められています。こういった「お金を消費する楽しみ」を教えてくれるのがガシャポン最大の魅力といえるでしょう。
ガシャポンは、常に子供の遊びやブームに大きく関わってきました。70年代のスーパーカーブームの際には、スーパーカー消しゴムを提供し憧れを助長しました。80年代にはキン肉マン消しゴム(キン消し)、ガンダム消しゴム(ガン消し)を生み出しブームを盛り上げました。ガシャポンのカプセルには、子供の夢や憧れが詰め込まれていたのです。それこそがガシャポン文化なのです。
「コスモス」と書かれたガシャポン販売機で買い物をした記憶のある方は多いのではないでしょうか。このコスモスこそ、かつてはガシャポンの王者として子供たちの世界に君臨した会社なのです。
コスモスは、1970年代から20円から30円の低額商品の入ったガシャポンと100円の高額商品の入ったガシャポンを用意し、駄菓子屋を中心に事業を展開していきました。低額商品の入ったガシャポンは、カプセルが小さくスーパーカー消しゴムなどの小さめの商品を中心にしていました。100円のガシャポンには原価が高いデジタル時計などが「当たり」として封入され子供の心に強く訴えかける力を持っていました。そして、コスモスはスーパーカー消しゴムの大ヒットによって、全国的にその販路を広げガシャポンを子供たちの文化に定着させたのでした。
しかし、コスモスの天下は長く続きませんでした。キャラクター関連商品において、版権を数多く持つバンダイのガシャポンへの参入は、ガシャポン市場に大きな変革をもたらすことになります。バンダイは「キン肉マン」「ガンダム」などの版権を活かしたキャラクター消しゴム(塩ビ人形)を発売し、ヒットを重ねます。コスモスは版権を持たない隙間産業的な商品の多発によって1990年を前に姿を消してしまうのです。
1980年代の後半バンダイは、自社の持つキャラクター版権を活かした新しいガシャポンを生み出します。それがカプセルの変わりにカードが出てくる「カードダス」です。20円を入れてハンドルを回すとカードが一枚出てくるシステムで、当時人気の高かった「SDガンダム」や「ドラゴンボール」などを商品化し急成長を遂げていきます。
そして1990年代の中盤、バンダイはさらに新しいガシャポン戦略を打ち出します。それが「ガシャポンHGシリーズ」なのです。このシリーズは通常の100円だった販売価格を200円以上に引き上げることで、商品の原価を引き上げより精密に作られた商品を提供するという手法を導入したものです。HGシリーズには、「機動戦士ガンダム」や「仮面ライダー」などの年齢層が割合高く購買力の強いファンが多い作品が選ばれています。これによって「子供の集めるもの」だったガシャポンは、「大人のコレクションに耐えうるもの」となり、大ヒットを記録したのです。
そして、1990年代後半にバンダイの一人勝ちとなりつつあったガシャポン市場に参入したのがYujinです。バンダイが取り扱えない、「ギャルゲー」商品を前面に押し出したラインナップはいわゆるアキバ系文化のニーズに合致し、新しい需要の開拓に成功したのでした。現在、タカラトミーの系列会社となったYujinはタカラトミーの人気商品「プラレール」「トミカ」「ゾイド」などのキャラクター版権を使用したガシャポンや、萌え系の作品のフィギュアを揃え、バンダイと市場を二分しています。
子供たちに夢を与えたガシャポンは、現在では「大きなおともだち」も群がる大きな市場へと発展しました。電源不要・人件費不要というガシャポンの優れた販売形態はこれからも続いていくことでしょう。
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