日本のアニメ界に大きな影響を与え、今も最新作が製作され続けている稀代の名作「機動戦士ガンダム」。親から子へと世代を越えて受け継がれる、今もファンが絶えない作品の一つです。そんなガンダムの魅力とは、どこにあるのでしょうか?
ファーストガンダムこと「機動戦士ガンダム」は1979年からテレビ朝日系列で放映されたロボットアニメです。しかし、今までのロボットアニメと違っていたのは、「リアルな戦闘」を描いていたことです。たとえば、「マジンガーZ」などでは毎話登場する敵のロボットは全てデザインが違い、能力も違うという設定でした。しかしガンダムでは「主力量産機」と位置づけられた多数の機体と能力の高い指揮官用の少数の機体が同時に登場するというシチュエーションを導入し、視聴者を圧倒したのです。SFブームの真っ只中で生み出されたガンダムは、若者たちを主力視聴者層に取り込み静かなブームを巻き起こしたのでした。
しかしガンダムは放映当時、スポンサーが見込んでいた子供たちからの人気が薄く放映予定の全52話から全43話に回数を減らして終了、メインスポンサーであった玩具メーカーのクローバーは放映終了後に倒産してしまいます。放映当時、クローバーから発売されていたガンダムの玩具は、メッキ塗装が施された安っぽいものでした。しかし、このクローバーの撤退が新しいチャンスを生み出したのです。バンダイは参入したばかりのプラモデル業界における橋頭堡の維持のために、モデラーの人気が高まりつつあったガンダムのプラモデル化を行ったのです。これがガンプラの始まりなのです。
ガンダムと言う名前は、企画当初の「フリーダムファイター ガンボーイ」というタイトルに由来しています。フリーダムベースに集った少年少女たちがガンボーイというロボットに搭乗するという筋書きだったのですが、現在のガンダムの形になるまでに様々な紆余曲折を経たのです。ガンボーイとフリーダムを合成して「GUNDAM」という名称が名付けられた……のですが、自由を表すフリーダムのスペルは「Freedom」で、「GUNDOM」になってしまうのです。そこで水を蓄えるダム(DAM)で、「銃を止めるダム」という意味を持たせたのです。
ファーストガンダムは、それまでに放映されていたロボットアニメの印象を覆すほどの衝撃を視聴者に与えました。その衝撃こそがガンダムの魅力と言っても過言では無いでしょう。
ファーストガンダムは同時期に放映されていた「宇宙戦艦ヤマト」と違い、宇宙に進出した地球人同士が対立するという構造を持っていました。「ヤマト」は、滅びの時が近づきつつあるガミラス星から、新天地である地球の環境改造を行うことを止めさせるために地球とガミラスが対立する構造でしたが、ガンダムは宇宙移民(スペースノイド)と地球人類(アースノイド)の対立と言う現実的な視点を加えた構造なのです。
ガンダムの特色ともいえるのがモビルスーツです。全長20m前後の人型ロボットであるモビルスーツは、絶対的な存在感を示しました。「壊れるもの」としてモビルスーツを描写し、最終決戦における大破したガンダムの姿など、今までにないロボット像を作り上げたのです。モビルスーツは今までの「一つしかない存在」ではなく、「量産を前提とする武器」の一つして描かれ、ガンダムを簡略化した量産型モビルスーツ・GM(ジム)の登場などで全体戦闘を表現したのです。
ガンダムの主人公であるアムロ・レイはナイーブな少年として描かれています。ロボットアニメにおける主人公は「バカがつくほどの熱血漢」というイメージを覆しています。また、アムロのライバルであるシャア・アズナブルは仮面に素顔を隠した復讐者として立ち回りながら、アムロと火花を散らす戦いを繰り広げていきます。アムロが、周囲の人と衝突したり、激励を受けたりして一人前に成長していく姿は主力視聴層となった青年たちの共感を呼びました。
ガンダムにおける「ニュータイプ」と呼ばれる存在は、作品内にも現実にも大きな影響を与えました。原作者である富野由悠季監督によれば「ニュータイプとは固定観念の影響を受けず平らかに物事を理解できる人」であるとされています。この能力が戦いの中では強い武器やモビルスーツを扱う力としてしか扱われなかったことは、悲劇を呼ぶことになるのです。ニュータイプになれなかったオールドタイプというもう一つの対立構造は、ガンダムの大きな柱となっていくのです。
ガンダムの台詞回しには、富野監督独特の言葉遣いが含まれています。これをガンダムファンは富野監督自身の言い回しも含めて「富野節」と呼んでいます。『女性っぽい言葉遣いをする』『相手を唐突にフルネームで呼ぶ』『倒置法で喋る』と言った、独特の言葉遣いはガンダムファンを今も魅了してやまないのです。
そして、アムロとシャアの戦いは未だに終わっていません。「終戦のローレライ」などで知られる作家・福井晴敏による新作「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」において、アクシズに消えた二人の戦いの結末が描かれるのです。ガンダムは未だ、新しい炎を灯し続けているのです。
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