ハーレー マフラー

アメリカンバイクの代名詞、ハーレー・ダビッドソンは100年以上の歴史があります。創業は1903年で、アーサーとウォルターのダビッドソン兄弟そしてウィリアム・ハーレーによって、北アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーの地に産声をあげました。記念すべき第一号機は、405cc単機筒、足こぎ式始動の、自転車にエンジンを付けたような物です。この第一号機は3台作られました。その後徐々に生産量を上げ、1906年にフロントサスペンションの開発に成功し、1907年に初めてV型2機筒のエンジンを開発しました。1912年には現在のトレードマークである45度Vツィンエンジンの量産に成功しています。郵便車、軍用車として成功を収めたハーレー・ダビッドソンは、1936年量産車両初のOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)機構エンジンのバイクを発表し、レースでも活躍します。

エンジンと年代(1936年〜1984年)

現存するハーレーの歴史は、エンジン上部(ヘッド)のロッカーアーム・カバーの形状で見分けられます。ここでは1936年〜1984年までのエンジンと車種を説明します。

ナックル・ヘッド

1936年ハーレー社初めての量産型OHVエンジンがナックル・ヘッドです。名前の由来はヘッドの形状が握りこぶしに似ていることから、そう呼ばれるようになりました。車種は988ccのE、EL、1,200ccのF、FLです。フロントフォークはスプリンガーと呼ばれるサスペンションです。マフラーはそれぞれのシリンダーから1本ずつ出されています。

パン・ヘッド

1948年ナックル・ヘッドで問題になっていたオイル漏れ、オーバーヒート対策などの信頼性の向上と、アルミ製のシリンダーヘッドを採用した新たなエンジンが登場します。それがパン・ヘッドです。名前の由来はヘッドの形状が鍋に似ていることから付けられました。性能面ではナックル・ヘッドと大差は無いものの、信頼性が大きく改善されました。また、新たに採用された油圧式テレスコピック・フロントフォークによって、快適な高速巡航性を実現しています。ただ、1948年の発表当初は、極少数のスプリンガー・フロントフォークも販売され、今では幻の「48(ヨンパチ)」と呼ばれて、大変な希少価値が付いています。当時のラインナップはハイドラグライド、FL(フットチェンジに変更)、Kシリーズ、FLH、デュオグライド(リアサスペンション搭載)、エレクトラグライド(セルモーター搭載)です。マフラーはそれぞれのシリンダーから1本ずつ出されています。

ショベル・ヘッド

現在でも大変人気の高いモデルの多いショベル・ヘッドですが、約半世紀前の1957年にレース用として発表されました。当時は日本製バイクの台頭により、ハーレーを始めとする海外のモーターサイクルブランドは、苦戦を強いられていました。そこで、レース用のスポーツスターに搭載されたショベル・ヘッドエンジンを1966年ビッグツインとして量販車に投入します。名前の由来は、ヘッドを上から見た時の形がショベルに似ていることから名づけられました。シリンダー、クランクケース、電気系統などに改良を加え、日本車対策をしましたが、業績は思うように伸びず1969年には他社に買収され、ハーレー・ダビッドソン一族も退陣してしまいます。そこで買収後唯一残ったハーレー・ダビッドソン直系のウィリー・G・ダビッドソンが、映画「イージー・ライダー」からヒントを得て、1971年ハーレーのカスタムユーザー向けに、ハーレー純正カスタムモデルとして「FXシリーズ」を投入します。FX第一号機のFX1200スーパーグライドのヒットにより何とか窮地をしのいだハーレーは、その後続々とニューモデルを投入していきます。1978年1340ccエンジンのFLHエレクトラグライドから始まり、FXEFファットボブ・スーパーグライド、FXSローライダー、FLHCエレクトラグライド、FLTツアーグライド。1980年にはFXBスタージス、FXWGワイドグライド、FLHSエレクトラグライドです。これらのヒットにより1981年ハーレーは買収先からの買戻し(バイバック)に成功しました。ハーレーの復活です。ショベル・ヘッドエンジンは1984年まで製造された、というのが通説になっていますが、実は1985年にも日本向けのみに製造されています。この頃から車種によってマフラーの配置が換わってきます。FLTはエキゾーストパイプが左右に分けられ、マフラーが左右2本出しになりました、それ以外のモデルはマフラーをそれぞれのシリンダーから1本ずつ右側に出されています。

ハーレー新時代到来

1981年バイバックに成功したハーレー社は、日本車に対抗すべく「新たなハーレー・ダビッドソン」の開発に取り掛かります。

エヴォリューション・エンジン

新たなハーレー・ダビッドソンが発表されたのは1984年、エヴォリューション・エンジン(通称ブロック・ヘッド)の開発に成功しました。基本構造はOHVシングルカムとショベル・ヘッド以前と変わりませんが、設計のコンピューター化、素材にアルミニウムを多用し生産ラインの高効率化をするなど、徹底的に車両の信頼性を向上させました。まさにエヴォリューション(革新)の始まりです。また、車両にも新たにFXSTソフテイル・シリーズが導入されます。ソフテイルはサスペンションの見えないフレームが特徴的です。更には現代にスプリンガー・フロントフォークを再現したFXSTSソフテイル・スプリンガーを発表するなど、人気車種が次々と発売されました。1992年には以前からの人気車種だったローライダーシリーズにFXDLダイナ・ローライダーが発表され、ハーレーの人気は確実なものとなります。吸気系にインジェクション(EFI)が採用されるようになり、マフラーも若干改良されています。マフラー内の拡張室が6段階になっていて、消音効果がアップされています。

ツインカム88エンジン

アメリカの速度規制の緩和で、ハーレーにも更なる高速性が要求され始めた1990年代、ハーレーもエンジンのパワーアップを要求され、OHVツインカム化の開発に着手します。そこで1999年に発表されたのがツインカム88エンジン(通称ファットヘッド)です。OHVながら、ツインカムの導入によってショートストローク・ワイドボア化を実現し、排気量も1450cc(88ci)になりました。この88ci(キュービック・インチ)がエンジンの呼び名になっています。バランサーを内蔵した88Bエンジンもあります。

レヴォリューション・エンジン

約一世紀にわたって空冷エンジンを採用してきたハーレーですが、2002年ついに水冷DOHCエンジンを発表します。レヴォリューション(革命)・エンジンの誕生です。1994年にはすでにプロトタイプ「VR1000」がスーパーバイクレースで活躍していましたが、8年にわたるテストと改良をドイツ・ポルシェの協力の下で、2002年やっと市販にこぎ着けました。排気量は1130cc、最高回転数8000rpm、最大出力115psのモンスターはショートストローク・DOHCながらハーレーらしい音を響かせます。

ハーレーの車種

ハーレー・ダビッドソンは1世紀以上の長い歴史があるため、年代によって車種も様々です。ここではナックル・ヘッド以降の車種に限って紹介します。

リジッドフレーム・シリーズ

ナックル・ヘッド誕生の1936年から、パン・ヘッド中期の1956年まで、リアサスペンションの無いリジッドフレームが採用されていました。リアサスペンションが無いので乗り心地は良くないのですが、そのシンプルで無骨なスタイルは今でも人気が高く、後のソフテイル・シリーズでは、ハーレー自らリアサスペンションの目立たないデザインを取り入れるほどです。当時は、排気ガス規制や騒音問題とは無縁の時代で、マフラーもデザイン重視のものが主でした。

スポーツスター・シリーズ

パン・ヘッド中期の1956年にリアサスペンションが導入されると同時に、スポーツスター・シリーズが発売されます。排気量920ccのこのモデルは、デイトナ200に代表されるダートトラックレースで培われた技術が盛り込まれ、たいへんな人気を得ることが出来ました。それ以来、様々な仕様変更を加えながら現在でも販売されています。発売当初のマフラーは、エキゾーストパイプ2本が後輪の付近で1本にされていましたが、現在の883や1200ではシリンダーごとに1本ずつマフラーが取り付けられています。

ダイナ・シリーズ

ダイナ・シリーズはスポーツスター・シリーズより排気量も大きく、外観もいわゆるチョッパーのようにカスタマイズされた印象があります。1971年に大ヒットとなったFX1200スーパーグライドを初めとし、その後ワイドグライド、ダイナグライド、スーパーグライド、ダイナ・ローライダーとバージョンアップして行きました。ショベル・ヘッド時代のローライダーまではエキゾーストパイプが後輪付近で1本に集合されるマフラーでしたが、エヴォリューション以降はそれぞれのシリンダーからマフラーが出ています。

ソフテイル・シリーズ

エヴォリューション・エンジンの発表と時を同じくして、ソフテイル・シリーズが発売されます。ソフテイル・シリーズの特徴は、なんといっても独特のスタイリングにあります。リアサスペンションをフレーム内に装着することで、外観はリジッドフレーム風にし、更に車両をコンパクトに見せるためにエンジンマウントもリジッドにしてあります。エンジンマウントのリジッド化をする為に、エンジンの振動が少ない88Bエンジンまで開発しています。マフラーはそれぞれのシリンダーから1本ずつ出ているタイプですが、FLSTSCソフテイル・スプリンガー・クラシックだけは左右2本出しのマフラーになっています。

ツアラー・シリーズ

ツアラー・シリーズの1号機はエレクトラグライドとされています。1965年デュオグライドにセルモーターを装備したモデルがエレクトラグライドです。エレクトラグライドのユーザー層は長距離ツーリングを好み、ハーレー社もそれに合わせるように装備を充実させていきます。大型カウルに始まり、サドルバッグやサイドカーなどロングドライブを快適にする装備の充実がみられます。1977年にはよりスポーティーなFLHSエレクトラグライド・スポーツを発売し、1994年クルーズコントロール、オーディオシステムなどを装備するFLHRロードキングが発売になります。装備は豪華路線をまっしぐらという感じで、カラオケまで付いているものもあります。エレクトラグライドのマフラーは、当初2本のエキゾーストパイプを後輪付近で1本に集合させるタイプでしたが、後に左右2本出しのマフラーになりました。ロードキングは発売当初から左右2本出しのマフラーを装備し、キングの名にふさわしい外観です。

V-Rodシリーズ

水冷DOHCの革新的なレヴォリューション・エンジンの発表と同時に、2002年に発売されたのがV-Rodシリーズです。エンジン性能が格段に進歩したことを受け、フレームからサスペンション、吸気系はもちろんのこと、マフラーも外観・性能ともに大きく進化を遂げました。シリンダーからクランクケースを覆うように曲げられたエキゾーストパイプからマフラーへの曲線美は芸術的です。

ハーレーをカスタマイズしよう!

ノーマルのままでも充分に魅力的なハーレーですが、映画「イージー・ライダー」に出てくるハーレーのように、自分の好みに合わせてカスタマイズするのも、ハーレーの楽しみの一つです。歴史のあるハーレーですから、アフターパーツの豊富さも魅力です。

ハーレーのマフラー交換時の注意点

マフラー交換する際に注意しなくてはいけないことがあります。マフラーを交換すると吸気系も調整が必要になることです。特にインジェクション(EFI)ハーレーのマフラーを交換するときは要注意です。また、インチサイズの工具が必要です。どうせなら工具にもこだわってスナップ・オンあたりを揃えてみてはどうでしょうか。

ハーレー用マフラー

マフラーと一言にいっても、ブランドや種類は膨大な数にのぼります。ここではいくつかピックアップして紹介します。

ハーレー用マフラーのブランド

サンダー・ヘッダー(Thunder Header)社製マフラー

レーシング用に開発されたマフラーで、2本のエキゾーストパイプが1本に集合されたマフラーです。レーシング用マフラーのため音が大きく、排気ガス規制にも対応していないため車検は非対応です。

スーパー・トラップ(Super Trap)社製マフラー

ディフューザー・ディスクにより排圧をコントロールできるマフラーで、好みに合わせて色々試せるのが良いですね。2イン1と2本出し両方あります。モデルによって、マフラー取り付け方法が変わってきますので、購入の際には詳しく調べましょう。

デイトナ(Daytona)社製マフラー

純正エキゾーストパイプを使用のスリップオンマフラーで、キャタライザー触媒を内蔵しているため排出ガス規制もクリアし、音も静かなため車検にも対応しているマフラーです。マフラーの音は上品な感じです。マフラーエンドの形状はストレート、テーパード、スラッシュカットがあります。

サムソン(Samson)社製マフラー

片側または左右の二本出しマフラーにより排気効率がアップします。2イン1タイプマフラーもあり種類が豊富で、目移りしてしまいますが、それもまたマフラー選びの楽しみの一つです。

ヴァンス・&・ハインズ(Vance & Hines)社製マフラー

30年の歴史を持ち、ハーレーのレースシーンには欠かせないブランドです。2イントゥ1シリーズは、2本のエキゾーストパイプが集合したマフラーで、その音は正にレーシングサウンドでパワフルのひとことです。ロングショット・シリーズは2本出しのマフラーで、シンプルで美しい外観が特徴のマフラーです。ドレッサー・デュアル・シリーズは、左右2本だし用のエキゾーストパイプをもつマフラーで、純正マフラーのサイレンサーが使用可能になっています。ストレート・ショット・シリーズはシンプルな外観で飽きの来ないデザインのマフラーです、迫力の音はハーレー乗りのあこがれです。いずれのマフラーもバッフル取り外し可能になっています。

サンティー(Santee)社製マフラー

サブノーズ・シリーズは、外観は極太ですが内径は純正と同じになっているマフラーで、バッフル付きです。デザイナー・シリーズは本場アメリカの有名カスタムビルダーがデザインしたマフラーです。トミー・ガンズ2イン1はエキゾーストパイプが2インチで迫力ある音が特徴的なマフラーで、ヒートシールドとバッフル付です。

アレン・ネス(Arlen Ness)社製マフラー

いわずと知れた、世界一のカスタムビルダーがデザインしたマフラーで、ハーレー乗りの憧れのマフラーです。

クローム・ワークス(Khrome Werks)社製マフラー

最近人気のマフラーで、見た目は普通ですが、セラミック製のサイレンサーが内蔵されているため性能が格段にアップします。エンド部分の形状はスラッシュカットとテーパードがあります。なお、取り付けには別売りのステーが必要です。

スクリーミング・イーグル2(Screaming Eagle 2)

ハーレー・ダビッドソン純正のスリップオンマフラーです。

マフラーの購入方法

ハーレーのマフラーの多くはアメリカ製のため、アメリカからの輸入になります。個人でマフラーを輸入する手もありますが、送料、関税などを考えると、国内のショップでマフラーを買ったほうが安上がりのようです。また、国内のショプでマフラーを購入すれば、マフラーの取り付けや、キャブレターなどの吸気系の調整もしてくれるので、安心です。

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